コラム
塗料
シリコン塗料の特徴とは?耐用年数や費用相場、施工事例なども紹介
2021.06.15
外壁塗装に使用される塗料のなかで、シリコン塗料は主流の塗料の一つであり、業者からシリコン塗料を勧められた方もいるのではないでしょうか。
しかし、
「シリコン塗料ってどのような特徴があるの?」
「シリコン塗料のメリット・デメリットって何?」
といった疑問を持っている方も多いでしょう。
そこで今回は、シリコン塗料の特徴やメリット・デメリットなどを解説します。施工事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
シリコン塗料とは?
シリコン塗料とは、塗料に含まれる樹脂の主成分にシリコンを使用している塗料のことです。
実際には、シリコンとアクリルの両方が含まれているため、アクリルシリコン塗料が正式名称となりますが、シリコン塗料と呼ばれるのが一般的です。
シリコン塗料はコストパフォーマンスが優れているため、近年では主流の塗料として多くの外壁塗装で採用されています。
では、シリコン塗料の特徴や耐用年数、単価相場について見ていきましょう。
シリコン塗料の特徴
外壁塗装の塗料は、以下の4つの成分で構成されており、一部の塗料を除いて使用されている樹脂の種類をベースに名前が付けられています。【塗料の4大成分】
成分 | 役割 |
樹脂 | 塗料の骨格を作る。樹脂(アクリル、シリコン、フッ素など)によって、塗料の耐候性やグレードが変わる。 |
溶媒 | 樹脂を溶かしたり薄めたりする液体のこと。水と溶剤(炭化水素系・アルコール系など)に分かれる。 |
添付材 | 塗料の性能を補助的に向上させる。 |
顔料 | 塗料の色彩を作る |
塗料における樹脂の役割は塗料の骨格を作ることであり、樹脂の種類によって耐候性塗料の耐候性や耐水性などが変わります。
たとえば、シリコン塗料は「耐熱性」「耐水性」「耐候性」に優れているという特徴があります。さらに、汚れが落ちやすく、ツヤのある仕上がりになりやすいことも特徴といえるでしょう。
シリコン塗料の耐用年数
外壁塗装でシリコン塗料を使用した場合、期待できる耐用年数は8〜12年です。外壁塗装の塗料にはさまざまな種類があり、耐用年数が非常に長いというわけではないものの、アクリル塗料やウレタン塗料よりも長持ちしやすいことがわかります。
塗料の種類 | 外壁塗装での耐用年数 |
アクリル塗料 | 3〜5年 |
ウレタン塗料 | 5〜8年 |
シリコン塗料 | 8〜12年 |
フッ素塗料 | 15〜18年 |
無機塗料 | 20〜25年 |
シリコン塗料の単価相場
シリコン塗料の単価相場は、1㎡あたり2,500〜3,500円です。アクリル塗料やウレタン塗料よりも耐用年数が長い分、やや高価ですが、塗り替えの頻度を抑えられるためコストパフォーマンスが高くなりやすいといえます。
塗料の種類 | 1㎡あたりの単価相場 |
アクリル塗料 | 1,000〜1,200円/㎡ |
ウレタン塗料 | 1,800〜2,000円/㎡ |
シリコン塗料 | 2,500〜3,500円/㎡ |
フッ素塗料 | 3,500〜4,500円/㎡ |
無機塗料 | 4,500〜5,500円/㎡ |
フッ素塗料や無機塗料は高すぎて採用できないけれど、機能性や将来的にかかるメンテナンスコストを考慮して塗料を選びたいという方は、シリコン塗料を検討してみてください。
シリコン塗料のメリット
では、シリコン塗料のメリットを具体的に見ていきましょう。
耐久性が高い
シリコン塗料は以下のとおり耐久性が高いことがメリットの一つです。・耐熱性:熱に強い。
・耐水性:撥水性が高いので、雨をはじく。
・耐候性:雨風や紫外線に強く、変形、変色、劣化などの変質を起こしにくい。
外壁は常に雨や風、紫外線の影響を受けます。そのため、耐熱性や耐水性、耐候性といった機能があるのは大きなメリットであるといえるでしょう。
光沢・ツヤのある仕上がりになる
シリコン塗料にはセラミックが配合されており、塗装面に美しい光沢とツヤを与えてくれることもメリットです。光沢やツヤのある外壁は、高級感を出してくれます。また、セラミックの硬化により汚れにくい性質も持っているため、ゴミやホコリ、泥、雨水などが付着しにくく、長期間きれいな状態を保てます。
商品のバリエーションが多い
シリコン塗料は外壁塗装の中でも人気が高いことから、商品のバリエーションが多いというメリットもあります。たとえば、色の選択肢が豊富であるため、白を採用する場合でも「どのような白にしたいのか」に応じて好みの色合いを見つけやすくなっています。
商品のバリエーションが豊富であるため、色のほか、価格や求める機能など、求める条件に合う塗料を見つけやすいのは魅力であるといえるでしょう。
メンテナンスコストが抑えやすい
シリコン塗料はアクリル塗料やウレタン塗料などと比較すると、メンテナンスコストを抑えやすいこともメリットです。たとえば、アクリル塗料は1㎡あたりの単価相場が1,000~1,200円と安価ですが、耐用年数は3~5年ほどしかありません。一方、シリコン塗料の1㎡あたりの単価相場は2,500~3,500円ですが、8~12年の耐用年数が期待できます。
塗料の単価が違うため、施工費用はアクリル塗料よりもシリコン塗料の方が高額になります。
しかし、塗り替えの頻度を抑えられるため、メンテナンスコストを抑えやすくなります。
外壁塗装にかかるメンテナンスコストの総額を考慮すると、シリコン塗料はコストパフォーマンスが高い塗料であるといえるでしょう。
シリコン塗料のデメリット
シリコン塗料はさまざまなメリットがある一方で、デメリットもあります。
ここでは、シリコン塗料のデメリットを解説します。
ここでは、シリコン塗料のデメリットを解説します。
アクリル塗料やウレタン塗料と比較すると単価が高い
シリコン塗料は、アクリル塗料やウレタン塗料と比較して単価が高いことがデメリットです。
メリットで解説したとおり、シリコン塗料はメンテナンスコストを抑えやすいものの、施工費用に注目するとアクリル塗料やウレタン塗料よりも高額になる傾向にあります。
そのため、施工費用を安く抑えることを優先するなら、シリコン塗料よりもグレードの低い塗料を選択するのがおすすめです。
メリットで解説したとおり、シリコン塗料はメンテナンスコストを抑えやすいものの、施工費用に注目するとアクリル塗料やウレタン塗料よりも高額になる傾向にあります。
そのため、施工費用を安く抑えることを優先するなら、シリコン塗料よりもグレードの低い塗料を選択するのがおすすめです。
シリコン含有量が少ない塗料を使うと耐用年数が短くなる
シリコン塗料は、樹脂の主成分にシリコンを使用していますが、実際にはシリコンとアクリルが含まれています。
しかし、シリコンの含有率に関する規定がないため、「シリコン塗料」と販売されている塗料でも、シリコンの含有率に差があるのです。たとえば、シリコンの含有率が高い塗料であれば40〜60%であるのに対し、低いものは20%以下しかシリコンが含まれていません。
シリコン含有率によって耐久性が変わるため、「どのシリコン塗料を選んでも同じだから、安いものでよい」と安易に塗料を選ぶのはおすすめしません。
シリコン塗料の含有率と価格のバランスを見て、納得したうえで塗料を選ぶようにしましょう。
しかし、シリコンの含有率に関する規定がないため、「シリコン塗料」と販売されている塗料でも、シリコンの含有率に差があるのです。たとえば、シリコンの含有率が高い塗料であれば40〜60%であるのに対し、低いものは20%以下しかシリコンが含まれていません。
シリコン含有率によって耐久性が変わるため、「どのシリコン塗料を選んでも同じだから、安いものでよい」と安易に塗料を選ぶのはおすすめしません。
シリコン塗料の含有率と価格のバランスを見て、納得したうえで塗料を選ぶようにしましょう。
ひび割れしやすい
シリコン塗料を乾燥させて形成される塗膜は硬い性質があるため、ひび割れやすいこともデメリットです。
とくに、温度や水分の影響で伸縮しやすいモルタルやコンクリート外壁に塗装する場合は、注意が必要となります。シリコン塗料のなかでも弾性が高い塗料もあるため、外壁材との相性を考慮して、塗料を選ぶのがおすすめです。
シリコン塗料は撥水性が高いため、重ね塗りには不向きであることもデメリットでしょう。
撥水性が高いため、雨水や汚れなどを弾いてくれるのは魅力ですが、塗料も弾く性質があるため、重ね塗りをしても塗料がうまく密着しないことがあるのです。
とくに、温度や水分の影響で伸縮しやすいモルタルやコンクリート外壁に塗装する場合は、注意が必要となります。シリコン塗料のなかでも弾性が高い塗料もあるため、外壁材との相性を考慮して、塗料を選ぶのがおすすめです。
重ね塗りには不向き
シリコン塗料は撥水性が高いため、重ね塗りには不向きであることもデメリットでしょう。
撥水性が高いため、雨水や汚れなどを弾いてくれるのは魅力ですが、塗料も弾く性質があるため、重ね塗りをしても塗料がうまく密着しないことがあるのです。
シリコン塗料はどんな住宅におすすめ?
シリコン塗料は外壁塗装で以下の条件に該当する方におすすめです。
・初期費用を抑えつつメンテナンスコストも意識した、コストパフォーマンスの高い塗料にしたい
・塗装予定の住まいに10年以上住み続ける予定がある
・光沢・ツヤのある外壁に仕上げたい
・豊富な商品ラインナップから、自宅に合う色を探したい
・施工事例が多い方がよい
以上のポイントに該当する場合は、シリコン塗料がおすすめです。
代表的なシリコン塗料
外壁塗装で用いられる、塗料メーカーの代表的なシリコン塗料を紹介します。
日本ペイント:ファインSi
日本ペイントは、塗料業界において国内の売上高とシェアで上位の大手メーカーです。
代表的なシリコン塗料である「ファインSi」は、希釈せずそのまま塗料を使えるように設計されており、使い勝手の良さが特徴です。
さらに、防サビのための硬化剤が加えられており、使用することでサビ防止の効果も得られます。耐久性と機能性を兼ね備えた高機能なシリコン塗料として、広く利用されています。
代表的なシリコン塗料である「ファインSi」は、希釈せずそのまま塗料を使えるように設計されており、使い勝手の良さが特徴です。
さらに、防サビのための硬化剤が加えられており、使用することでサビ防止の効果も得られます。耐久性と機能性を兼ね備えた高機能なシリコン塗料として、広く利用されています。
SK化研:水性セラミシリコン
エスケー化研は、建築仕上げ塗材の分野で国内シェア上位の大手塗料メーカーです。
「水性セラミシリコン」は、シロキサン結合の硬化によって、強靱な塗膜を形成できることが特徴です。そのため、従来の水性塗料と比較して、格段に優れた耐久性と低汚染機能を備えており、長期間にわたって壁面を美しく保つことが可能です。
「水性セラミシリコン」は、シロキサン結合の硬化によって、強靱な塗膜を形成できることが特徴です。そのため、従来の水性塗料と比較して、格段に優れた耐久性と低汚染機能を備えており、長期間にわたって壁面を美しく保つことが可能です。
関西ペイント:コスモシリコン
関西ペイントの「コスモシリコン」は、耐久性、耐汚染性、コストパフォーマンスに優れた水性アクリルシリコン系塗料です。
さらに、耐候性にも特に優れており、外壁のメンテナンスコストを抑えやすいといえます。
また、標準色として約35色が展開されているため、好みや建物のテイストに合わせて、好みの色を見つけやすいことも魅力でしょう。
さらに、耐候性にも特に優れており、外壁のメンテナンスコストを抑えやすいといえます。
また、標準色として約35色が展開されているため、好みや建物のテイストに合わせて、好みの色を見つけやすいことも魅力でしょう。
菊水化学:水系ファインコートシリコン
菊水化学の「水系ファインコートシリコン」は、ドイツの化学大手BASFとの共同開発により、開発された塗料です。
水系ファインコートシリコンには、光安定剤(HALS)が添加されているため、高い耐候性を実現しています。
さらに、シリコン含有率が高く、耐用年数は12〜16年が期待できます。
水系ファインコートシリコンには、光安定剤(HALS)が添加されているため、高い耐候性を実現しています。
さらに、シリコン含有率が高く、耐用年数は12〜16年が期待できます。
日本特殊塗料:スーパーパラサーモシリコン
日本特殊塗料の「スーパーパラサーモシリコン」は、モルタル、スレート、サイディングボードなどさまざまな材質の外壁に使用できる塗料です。
特殊変性の高分子樹脂を使用しており、優れた耐汚染性を実現しています。また、特殊薬剤の配合により、微生物の発生を抑え、防かび・防藻性も持っています。
建物の美観を長く維持できるため、きれいな状態を長く保ちたい方におすすめです。
特殊変性の高分子樹脂を使用しており、優れた耐汚染性を実現しています。また、特殊薬剤の配合により、微生物の発生を抑え、防かび・防藻性も持っています。
建物の美観を長く維持できるため、きれいな状態を長く保ちたい方におすすめです。
アステックペイント:シリコンフレックスⅡ
アステックペイントの「シリコンフレックスⅡ」は、紫外線などの劣化要因に強いシリコン樹脂を多く含むことで、優れた耐候性を実現している塗料です。
耐用年数は12年ほど期待でき、時間が経過しても光沢保持率80%以上を維持できるため、美しい見た目が長く続きます。
さらに、低汚染性、防カビ性、安全性といった機能性にも優れています。
耐用年数は12年ほど期待でき、時間が経過しても光沢保持率80%以上を維持できるため、美しい見た目が長く続きます。
さらに、低汚染性、防カビ性、安全性といった機能性にも優れています。
シリコン塗料を使った外壁塗装の施工事例3選
最後にシリコン塗料を使った外壁塗装の施工事例を見ていきましょう。
事例1:ガイソーウォールタフネスシリコンⅡを使って耐久性の高さと美しい見た目を実現
【BEFORE】
【AFTER】
塗料には、耐久性と美観の両方を実現できる「ガイソーウォールタフネスシリコンⅡ」が採用されています。
また、こちらの住宅では、凍害による爆裂が発生していたため、一部のサイディングを丁寧に張り替えるリフォームも行われています。
事例2:ガイソーウォールマイティシリコンで白く美しい外壁に
【BEFORE】
画像引用元:ガイソー前橋店「白い家に元通り!」
施工前の外壁は、劣化によってカビやコケ、ひび割れなどが発生していたため、汚れやカビ・コケの発生などを抑制してくれて、チョーキング現象にも強い「ガイソーウォールマイティシリコン」によって、外壁塗装が行われました。
色合いは施工前とほとんど変わりませんが、ベランダと玄関上の外壁に薄いグレーの塗料を施工することでアクセントをプラスしています。
施工前の外壁は、劣化によってカビやコケ、ひび割れなどが発生していたため、汚れやカビ・コケの発生などを抑制してくれて、チョーキング現象にも強い「ガイソーウォールマイティシリコン」によって、外壁塗装が行われました。
色合いは施工前とほとんど変わりませんが、ベランダと玄関上の外壁に薄いグレーの塗料を施工することでアクセントをプラスしています。
事例3:エスケー化研プレミアムシリコンで築40年の住宅を塗装
【BEFORE】
画像引用元:ガイソー尼崎店「築40年、初めての外壁塗装!」
築40年の住宅で、外壁のさまざまな箇所にひび割れが生じていたため、外壁塗装が行われました。
まず、下地処理によってひび割れなどの劣化箇所をきれいにしたうえで、塗装が行われます。ただし、こちらの住宅では劣化が進行していたことから、通常1回の下塗りを2回行ったうえで、中塗り、上塗りが行われているため、合計4回の重ね塗りとなっています。
丁寧な施工により、非常にきれいな仕上がりになっているといえるでしょう。
築40年の住宅で、外壁のさまざまな箇所にひび割れが生じていたため、外壁塗装が行われました。
まず、下地処理によってひび割れなどの劣化箇所をきれいにしたうえで、塗装が行われます。ただし、こちらの住宅では劣化が進行していたことから、通常1回の下塗りを2回行ったうえで、中塗り、上塗りが行われているため、合計4回の重ね塗りとなっています。
丁寧な施工により、非常にきれいな仕上がりになっているといえるでしょう。
まとめ
今回はシリコン塗料の特徴やメリット・デメリットなどを解説しました。
シリコン塗料は、数ある外壁塗装の塗料のなかでも中間グレードの塗料であり、価格と耐久性のコストパフォーマンスに優れた塗料として人気があります。
ただ、すべての住宅に適しているわけではなく、塗装に求める条件によっておすすめできるかどうかが変わってきます。どのような希望を叶えたいのか明確にしたうえで、シリコン塗料が合うか検討するのがおすすめです。
ぜひ今回の記事を参考に、シリコン塗料の採用を検討してみてください。
関連コラム